Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


「あの…、やることないんで掃除してました…」

「掃除?ずっと?」

「はい。今し方終わって、何しようかと思ってたところです」

「じゃ、ごはんは食べてないの?」

「……はい。なんだか気持ち的にお腹いっぱいで……」


それを聞いたみのりは、フフフ…と面白そうに笑い声を立てた。


「『気持ち的に』ね…。だけど、これから私が作るものを見たら、きっとお腹がすいてるの思い出すよ」


と、遼太郎の手からすり抜けて、キッチンへと向かう。それから、冷蔵庫をけて食材を見繕って取り出すと、調理を始めた。


「……ん!?遼ちゃん、キッチンもお掃除してくれたの?ピカピカになってる!」


みのりの嬉しそうな声が聞こえてきて、遼太郎は恥ずかしそうに答える。


「はい。お風呂場もトイレも掃除してます」

「え?!汚れてたでしょ?恥ずかしいなぁ…」

「いや、きれいでしたけど、俺がじっとしてられなかっただけです」

「じっとしてられなくても、下手に外に出て知り合いに目撃されたら、帰省してるのバレちゃうもんね」


みのりは手を動かしながら、そう言って柔らかく笑った。


それから、ものの10分ちょっとで、リビングに座る遼太郎の前のテーブルに特大のオムライスが据えられた。

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