Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「どこか、思いついた所があるんじゃないですか?」
遼太郎が促しても、みのりは「うーん…」と考え込んでいる。
それから、スマホを取り出すと、電話をかけ始めた。〝予約〟が必要なところなのかと、遼太郎はその様子を見守る。しかし、相手は電波の届かないところにいるらしく、みのりは険しい顔をしてスマホを再び操作する。
「しょうがないな。実家の方にかけてみるか……」
そんなみのりのつぶやきを聞いて、遼太郎の心臓が跳び上がる。
——……せ、先生?!もしかして、俺を先生の実家に連れて行こうと……!?
遼太郎の緊張の度数が最大値まで振り切れる。
みのりの両親に紹介してもらえるのは、遼太郎にとって嬉しいことに違いないが、それでもやっぱり心の準備というものが必要だ。着ている物だって適当だし、何よりも自分はまだ学生だし、そもそもまだプロポーズだってしていない。
激しい動悸を伴いながら、遼太郎の思考が焦りに塗りつぶされていくのを知る由もないみのりは、ただ電話のコール音に耳を傾けている。