Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「あの、突然のお電話、誠に失礼いたします。私は和彦さんの元同僚の仲松と申します」
——は?……『和彦さん』?
あらぬ方向へどんどん展開していっていた遼太郎の思考は、いきなり出てきた男の名前によって中断された。
これから二人で出かけようとしているのに、みのりはどこへ行こうとしているのだろう。デートスポットの情報を、この男に聞こうとしているのだろうか……。
遼太郎の思考がまた別方向へ向かい始めた時、はつらつとした声が電話口から遼太郎の耳へも聞こえてきた。
『ねえさん!久しぶり。よく俺が実家にいるって知ってたね!』
「いや、知ってるわけないんだけど、偶然よ。古庄先生の実家に電話したのは、前に先生から教えてもらってた遺跡のことよ」
——……え?!古庄先生って、〝あの〟?!……下の名前は『和彦』っていうのか。
遼太郎の認識で〝古庄先生〟は、みのりの周りにいる男の中で一番警戒していた超イケメン教師だ。同じ地歴科の教師同士でもあり、彼はみのりのことを親しげに『ねえさん』と呼んだり、遼太郎が高校生だった時も何かと〝仲が良い〟と噂されていた。