Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
遼太郎が傍らにいるにもかかわらず、みのりと古庄の会話は弾んだ。〝仲が良い〟というのは紛れもない事実のようだ。
通話が終わって、みのりは遼太郎に向き直った。
「あのね、遼ちゃん。思いっきり、私の趣味を押し付けて申し訳ないんだけど、古庄先生の家に行ってほしいのよ?」
「古庄先生の家に行くのが、先生の趣味なんですか?」
みのりと二人っきりで過ごせるわけではない雲行きなので、釈然としない遼太郎はそこはかとない嫌味を匂わせた。
「…え?!いや、そうじゃなくて!」
遼太郎のほのかな不機嫌を気取ったみのりが、焦って弁解しようとした矢先、遼太郎は息を抜いて微笑んだ。
「古庄先生の方の話も聞こえてたんで、状況は分かってます。要するに、先生は遺跡に行きたいんですね?」
「…う、うん。そう。デートって感じじゃないし、遼ちゃんに付き合わせて、悪いけど」
みのりは肩をすくめて小さくなって、申し訳なさそうに言った。
その話し方がさっき古庄と話していた時と違うことに、遼太郎の〝彼氏〟という自負心が持ち直す。