Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「衛藤くん、職人さんだから奥にいるのかな?見かけなかった。…あ、そうだ。古庄先生からメールが来てたんだった」
みのりがメールを見ながら古庄の実家の場所をナビに入力すると、知り合いに出会ってしまいそうなこの場所から、早く抜け出したい遼太郎は、早速車を発進させた。
古庄の実家までは車で1時間半くらいの距離で、それから本格的なドライブになった。
芳野の街を抜けて、山間を通る国道を走る。幸運なことに天気も良く、冬の優しい光の中に山の落葉した木々や稲刈りが終わった後の田圃に残る稲株がよく見えた。
そんな穏やかな風景を目を細めながら眺めているみのりの横顔を、遼太郎は運転をしながら横目で確かめる。
抱き合っている時は、もちろんこれ以上ないくらい幸せだけれど、今こんな風にみのりがリラックスする時に自分が隣にいられる資格があることも、遼太郎にとっては幸せを感じる瞬間だった。普段は離れ離れなのだから、こうやって一緒にいられるだけでも、〝今〟はかけがえのない大事なひとときなのだと思う。