Rhapsody in Love 〜二人の休日〜

・城跡探検



みのりにはゆっくり眠ってもらいたいと思っていたが、遼太郎は運転しながら、いささか不安になってきた。古庄の実家に近づくにつれて、山に分け入って、どんどん山が深くなっていくからだ。


——そういえば、スマホの電波が届かないって言ってたような……。


スマホの電波が届かなくても、カーナビは道案内してくれてるはずだ。道は間違えてない……けれども、この先に家があるとは思えない。

鬱蒼とした木々の下を、車同士がすれ違うこともできないような道が続いている。息を殺すように気をつけて運転する遼太郎の傍らで、みのりは安心しきって眠っている。


でも、これはみのりの判断を仰がなければならない状況だと、遼太郎がみのりに声をかけようとした時——、木々のトンネルを抜けて、突然視界が開けた。

山あいの平地に田んぼが広がり、家屋が点在している。その中でも、台地の中腹に茅葺きの門と大きな屋敷が目についた。ナビではそれが、古庄の実家だと指し示していた。

石垣が築かれた坂道を上り、戸惑いながら門の中に車を乗り入れると、ちょうど外で掃除をしていた古庄が駆け寄って来た。

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