Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


運転席を覗き込んだ古庄が、遼太郎の顔を見て動きが止まる。遼太郎は自分がみのりと一緒にいる〝不自然〟を、どう説明すればいいのか分からなかった。でも、とりあえず挨拶はしなくてはならないと、ドアを開けて車から降りた。


「君は……、見覚えがあるぞ。…ああ!ラグビー部の子だったね?」


爽やかな笑顔とともに、優しく話しかけてくれる。古庄はやっぱり、非のつけどころのないイケメンだった。作業着がわりに着ているカンタベリーのウィンドブレーカーに、少しだけ親近感を感じる。


「こんにちは。狩野遼太郎と申します」


遼太郎はペコリとお辞儀をして、礼儀正しく自己紹介をした。つられて古庄も、頭を下げる。


「ああ、こんにちは。……それで、ねえさん……ってか、仲松先生は?」

「助手席で眠ってます」

「ええ?!」


古庄は助手席側に回り込んで、その中を覗き込む。


「ハハッ、ホントだ。なんか、かわいいな」


古庄のその一言に、遼太郎は敏感に反応した。みのりの寝顔は自分だけの宝物のように思っていたのに、古庄に見られてしまうとは。到着する前に起こしておけばよかった、と後悔した。いや、寝顔だけではない。この古庄の前からみのりを隠してしまいたい、と思った。


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