Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
——はあ?!誰が『和彦の嫁さん』だって?!
遼太郎がその聞き捨てならない部分に敏感に反応して、眉間にシワを寄せる。
すると、焦ったのは古庄だ。
「おい!この人は、俺の前の学校の同僚だって言っただろ?何が『嫁さん』だよ?!失礼だろう!」
顔を真っ赤にさせて躍起になって、両親のとんだ誤解を否定した。
「……え、違うのか?」
「和彦がこの家まで『来たらいい』なんて言うから、てっきり……」
この様子からすると、古庄が自分からこの家に女性を連れてくることはなかったのだろう。
「俺の元同僚の仲松先生と、その彼氏の狩野くんだ」
「…はあ、彼氏……」
古庄が紹介すると、両親は少しがっかりした面持ちでみのりと遼太郎を見た。みのりと遼太郎は頭を下げる。
「年末のお忙しいときに、突然押しかけて来てしまいました。ご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございません」
みのりが古庄の両親の誤解を軽く受け流し、奥ゆかしい微笑みを見せると、両親もその美しさに一瞬見惚れた後、改まって頭を下げた。
——こんなときに、こうやってきちんと挨拶できるのが、〝大人〟なんだろうな……。
隣にいるみのりの丁寧な挨拶を聞きながら遼太郎は、次に同じような場面があったときには、自分もこんな挨拶ができるようにしようと心に刻んだ。