Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「こんな辺鄙な所へ来てくださる人は珍しくて、浮かれてしまって失礼しました」
「今日は去年見つかった城跡へ行くんだって?あそこはタラの木山って言ってね……」
古庄の両親も気さくな人たちみたいで、〝嫁さん〟ではなかったガッカリは忘れて、すでに歓迎ムードだった。
けれども、古庄はその会話を遮った。今日ここへ来たのは、古庄の両親に会うのが目的ではない。
「早く行かないと、暗くなる前に山を下りて来られないかもしれない」
古庄からそう促されて、早速〝遺跡〟に向かって出発した。道が細く悪路だということなので、古庄の運転する車に二人は乗り込んで、案内してもらう。
「ホントなら、二人きりで行きたかったかもしれないけど……」
車を運転しながら、古庄が苦笑いする。
——まったく、その通りだよ……。
みのりと一緒に後部座席に座りながら、遼太郎は心の中で同意した。
それでなくても、遼太郎が帰省している時間は限られている。その間も、ずっとみのりと一緒にいられるわけではない。それなのに、よりにもよって古庄に邪魔されて、せっかくのデートが台無しだ。
「でも、迷いやすい所なんだ。城跡を見つけた史料館の先生も迷って、山の中で一晩明かしたらしい。だから、俺はお邪魔虫だけど、勘弁してくれ」(※)
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※ 「彼がメガネを外したら…。」の中で、主人公の二人が遭難してしまうエピソードです。