Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「こうしている間にも暗くなる。狩野くんにやらせてみたらいいよ。ダメそうだったら、俺が止めるから」
古庄からも口添えされて、みのりは観念する。これ以上意地を張って、二人に迷惑をかけるわけにはいかない。
「ごめんね……」
と、みのりは小さな声で呟くと、遼太郎の首に腕を回した。
「行きましょう」
遼太郎はみのりを背負ってすっくと立つと、古庄に声をかけた。
古庄が先程よりも速度を上げて、歩き始める。遼太郎はそれに続いて、みのりを背負っていることなど物ともせず軽快に足を運ぶ。
「ごめんね、ごめんね。重いでしょう?」
遼太郎の耳元で何度もみのりは謝った。
「ふっくん背負って、大嶋神社の階段を登り下りしてたんですよ?先生くらい大したことありません」
飛び跳ねるように山道を下りながら、遼太郎は みのりの心配を笑い飛ばす。
言っている通り、遼太郎はぐらつくこともなくしっかりと支えてくれていて、みのりは安心してその身を任せていられる。
遼太郎の広い背中、逞しい肩。
遼太郎に守られてるみたいで、みのりは申し訳ない気持ちよりも、ドキドキと胸が高鳴ってくる。その感覚があまりにも切なくて、泣いてしまいそうになる。
けれども、この山道は、遼太郎の言っていた神社の階段よりも、ずっと長く険しい。さすがの遼太郎も、次第に息が切れてきて、少しずつ足取りが重くなってくる。