Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


「いただきます!」


遠慮なくもりもり食べてくれるのは、作り手としてはとても嬉しいようで、


「狩野くん。かわいいわぁ〜♡」


と、普段は味わえない若い男の子の刺激を楽しんでいる。


「二人とも、今日は泊まって行きなさい。今夜は飲もうじゃないか!一発で元気になる儂の《《とっておき》》の酒を、ぜひご馳走したい!」


古庄父からそう言われて、みのりと遼太郎は顔を見合わせた。この楽しい雰囲気のまま、「はい」と言いたいところだったけれど、


「せっかくのお誘いですが、明日は朝から仕事があるので、今日中に帰らなくてはいけないんです…」


みのりは、山の中で古庄に言ったことと同じことを言いながら、丁寧に頭を下げる。それを見て、遼太郎も一緒に頭を下げた。でも、みのりはすかさずその後の言葉を続ける。


「でも、また折を見て、来させてください。こんなに臭みのない本当に美味しいジビエ、また食べさせていただきたいです」


にっこりと綺麗な笑顔でみのりがフォローすると、古庄夫婦はそれ以上は無理強いできず、逆に満たされたような表情になる。

そして、『美味しいジビエ』について、古庄父が「儂の血抜きの仕方がいいから美味い」と言い、古庄母が「私の薬味の配合が絶妙だから美味しい」と言い、お互い意地を張り合って大いに話が盛り上がった。


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