Rhapsody in Love 〜二人の休日〜
「そもそも、なんでそんなことに?普通にしてたらなくなったりしないものですよね?」
大事件の顛末を知りたい遼太郎が、話の続きを促す。
「その普通じゃないことが起こってしまうのが、ねえさんの不思議なところだ」
面白そうに笑いながら話す古庄を、みのりはさらに目を据えて鋭い視線を向けた。
「不思議じゃない!私が答案を置く机を間違えただけなのよ」
「それに、不幸な偶然が重なってね」
古庄が合いの手を入れたが、それだけでは話の内容は分からないので、みのりが腰を落ち着けてから説明してくれる。
「授業担当の先生は、非常勤講師でね。考査のあった日は勤務日じゃなかったの。私は考査が終わって、答案を綴じて、その先生の机と思ってた所に置いておいたのね」
「そう、その手続きには問題はない。他の先生も皆そうしてる」
「だけど、次の日その先生が出勤してきて『答案がない!』って血相変えて言ってきたのよ」
「それから、大騒ぎだったな。皆で探しても見つからなかったし」
みのりが大変な目に遭ったのではないかと、遼太郎の表情が心配で曇っていく。そんな遼太郎に対して、みのりは続けた。
「もう一度、そのクラスだけ考査のやり直しをしなきゃいけない…っていう状況になって。だけど、同じ問題で考査はできないから、問題を作り直さなきゃいけないし。生物の考査だったから、私は問題作れないし。作問した先生にも、その非常勤の先生にも申し訳なくて…。…でも、その時、古庄先生がミラクルを起こしてくれたのよ」