アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
アイドルの彼女になりました
廉くんには何も伝えられぬまま日は過ぎていく。
「何?俺なんかした?」
「ううん!ぼーっとしてただけ!」
今日も秘密の隠れ家である空き教室に来ている。
また廉くんのことを見てしまっていたみたい。
廉くんに指摘されて、慌てて否定した。
「今日はね、愛華ちゃんに渡したいものがあるんだ」
手を背中に回して、何かを隠すようにして近づいてくる颯汰くん。
「愛華ちゃんに喜んでもらえるといいなぁ」
そう私に微笑むのは莉音くん。
「何ー?」
渡したいものが何かわからず、私は首を傾げる。
颯汰くんはジャーンと何かを扇形に開いて私に見せた。
「……これって」
会場や開演時刻の書かれた細長い紙が3枚。
「僕たちのデビューライブのチケットだよ」
「うそっ!」
心桜と人気すぎてもう取れないよねと話していたシャイニングのデビューライブのチケットだ。
「はい、これあげる。お友達と妹ちゃんと良かったら一緒に見に来てくれないかな?」
「本当に、いいの?」
簡単に手に入れられないものだからこそ躊躇してしまう。
「愛華ちゃんに俺らのライブ、見に来て欲しいんだよ」
「千秋くん……」
千秋くんの一言に、みんながうんうんと頷く。
「ありがとう、みんな!見に行きたかったからすごく嬉しいっ」
「愛華ちゃんに喜んでもらえてよかった」
特別なチケットをもらえて、行きたかったシャイニングのデビューライブに行けることになって、本当に嬉しすぎる。
席を用意してくれたみんなには頭が上がらない。
こうなったら全力でみんなのことを応援しないと。