アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
アイドルのファンになっちゃいました
「愛華、おっはよー」
「ちょ、ちょっと!やめてよ!」
朝から最悪だ。
登校中に柊と会っていしまい、毎度お決まりのように髪をわしゃわしゃとされ、崩された。
せっかくセットしてきた髪が台無しだ。
まるで嵐に遭った後のよう。
「愛華がボケーッと歩いてるからだろ?」
「それとこれは関係ないでしょ?」
柊と会うといつも喧嘩をしてしまう。
友達に相談しても、喧嘩するほど仲がいいって言うでしょと流されてしまう。
心桜にも仲良し認定をされているし……
「ほら、またぼーっとしてる」
「うるさいなぁ。考え事くらいしたっていいでしょ?」
柊は歩幅を私に合わせて、隣を歩く。
どうやら一緒に学校へ行くみたいだ。
私は「はぁ」と大きなため息をつく。
「あ、そういや昨日いつ帰ったんだ?まだ学校にいると思って探したのにもう居ねーんだもん」
昨日……そういえば、柊に見つかりそうになってあの空き教室に逃げ込んだんだっけ。
そこで彼らに出会ってしまった。
あのことは誰にも秘密。
もちろん柊にも、仲良しの心桜にもだ。
「私、すぐ帰ったし」
「おっかしいなぁ、先生はまだいるだろうって言ってたのに」
わざわざ先生にまで確認しに行ったのかと思うと呆れてしまう。
どれだけ私と帰ろうとしていたのだろうか。