アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
放課後。
「今日も一緒に帰りたいところだけど部活なんだよなぁ」
真っ先に私の元へとやって来た柊は、残念そうにそう言った。
柊はサッカー部に所属している。
今日はその練習日らしい。
私にとっては超ラッキーなお話だ。
「そう。頑張って」
「愛華に応援されたら頑張んなきゃな!」
なんて単純なやつなんだろう。
決まり文句のように出た言葉なだけなのに。
「ねぇ、心桜、一緒に帰ろ──」
心桜にそう声をかけた時、いきなり廊下がざわめきだす。
何事?
私はその場に立ちつくす。
「なんだろね?」
私に呼ばれてこちらに来た心桜も首を傾げる。
すると、ある人が私たちの教室に来て立ち止まった。
「あーいかちゃんっ!」
確かにその人は私の名前を呼んだのだ。
「なっ、なっ、なっ!」
「……うそ、でしょ?」
その特別ゲストに、隣の心桜は空いた口が塞がらないようだった。
そんな私も目を見開いて立ち尽くしている。
「愛華、どういうこと!?」
心桜に体を揺さぶられるけれど、私だって意味がわからない。
クラスメイトたちは、その特別ゲストと私とを交互に見ては驚いていた。