アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「みんなお待たせーっ」
ガラッと勢いよく空き教室のドアを開いた莉音くん。
もうすでに空き教室の中には、他の3人が集まっていた。
そんな3人の視線は、まっすぐ私の方へと向く。
「なんでお前……」
明らかに嫌そうな視線が廉くんから向けられた。
私だって好きで来たわけじゃないのに。
突然教室にやって来た莉音くんに、半ば無理矢理連れてこられてしまっただけ。
「莉音、愛華ちゃん連れてきちゃったの?」
「えへへ、どうしても愛華ちゃんに会いたくて」
満面の笑みで答える莉音くんの笑顔は破壊力抜群。
憎みたくても憎めない顔だ。
「莉音がごめんね、愛華ちゃん」
そう謝ってくれたのは颯汰くん。
「いえ……」
なぜかイケメンたちに言われると、反抗する気になれないのが不思議だ。
「でも俺たちこれから撮影だけどどうすんの?」
口の中で棒キャンディーを転がしながら、チラリと時計を気にしてそう言ったのは千秋くん。
この前も飴を舐めていたけれど、甘いお菓子が大好きなんだろうか。
「あっ、愛華ちゃんも飴いる?」
「いえ、大丈夫です……」
「そう?遠慮しないでね」
じっと見つめていると、勘違いされてしまったみたいだ。
それにしてもこの後撮影って、勝手に連れてこられた私はどうすればいいのだろう。