アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「まだ時間あるから、こっちで一緒にお菓子食べない?」
「あっ、はい」
千秋くんに呼ばれて、隣の席に座る。
机の上には、飴やチョコレート、クッキーなど手軽に食べられるお菓子が揃っていた。
そういえば、学校にお菓子持ってくるのってありなんだっけ……
多分ダメだった気がするけれど、芸能科は特別なんだろうか。
「愛華ちゃんもどうぞ?」
そう手渡されたチョコレートを口にして思う。
なんだか、悪いことをしている気分だ。
それがちょっぴり楽しかった。
「あーっ、千秋くんだけ愛華ちゃん独占してずるい!僕も入れてーっ!」
独占だなんて言い過ぎな気がするけれど、何かに嫉妬したらしい莉音くんが私たちの元へとやって来た。
そうして3人でお菓子を囲んで食べる。
颯汰くんはそんな私たちの様子を微笑ましく、まるでお母さんのように優しく見守っていて、逆に廉くんはなにも興味がなさそうにずっとスマホをいじっていた。
そうしばらくして、颯汰くんのスマホが鳴った。
それは電話のようで、「もしもし」と誰かと会話をしている。
とてもかしこまっているようだから、仕事の電話だろうか。
「はい、わかりました。これから出ます」
颯汰くんはそう言って電話を切った。