アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「着いたって?」
「うん。みんな行くよ」
千秋くんと颯汰くんの会話を合図にみんなが立ち上がる。
「行くってどこへ?」
「僕らの迎えの車が来たんだ。一緒に行こう、愛華ちゃん」
私の質問には、莉音くんが答えてくれた。
莉音くんに懇願されたこともあり、「やっぱり帰ります」なんてことは言えず、彼らについて行く。
莉音くんが私の手を握っているから、逃げることもできない。
ただ、アイドルに手を握られているなんて貴重な経験だろうと、心の中で彼らのファンに頭を下げていた。
結菜が聞いたら羨ましがるだろうなぁ。
なんならこの席を変わってあげたいくらいだ。
確か結菜の推しは、莉音くんだったはずだから。
この話をしたらきっと羨ましがるだろう。
いや、それ以上に嫉妬するかもしれない。
やっぱり秘密にしておいた方がいいのかも。
ただただ連れられて、彼らについて行くと、そこは生徒玄関ではなく、学校の裏口だった。