アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「あの、どこに行くんですか?」
「学校の裏口だよ?正面から出るとまた追っかけに会うから、ひっそりと出るんだ」
莉音くんはシーっと指を唇に付けてそう言った。
彼らはいつも裏口から学校を出ているらしい。
そういえば今朝、心桜がシャイニングのみんなが帰るところを誰も見ていないんだと言っていた。
それはこういうことだったんだ。
裏口からいつも出ているから誰にもバレていなかったんだ。
しかもその裏口というのは、芸能科のある別棟にあるのだ。
彼らに連れられて、今日初めて別棟に足を踏み入れた。
なにか特別なものはなかったけれど、気分は特別だった。
踏み入れちゃ行けないところに来ている感じ。
内心、ちょっとワクワクしている自分がいた。
そうこうしているうちに裏口につき、ちょっぴり重そうな扉を颯汰くんが開けた。
その先には真っ黒な車が止まっている。
ドアの前には、女の人が立っていて、こちらに手を振って待っていた。
「あの人は……?」
「僕たちのマネージャーだよーっ」
マネージャー。日頃聞きなれない言葉。
そりゃ彼らはアイドルなんだから、マネージャーくらいいるよね。
マネージャーさんに近づくに連れて、マネージャーさんの顔つきは、険しくなっていった。