アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「なんでしょう」
私はかしこまって聞く。
「愛華ちゃん、僕、敬語なくていいよっていったじゃん?でもずっと僕たちに敬語でしょー?もっと仲良くなりたいから敬語やめて欲しいなっ」
「えっ、それは……」
そもそも、彼らは2年年上の先輩で、しかも手の届かないようなアイドル。
そんな人たちに本当にタメ口を使っていいのだろうか。
そう思って、なかなか敬語を外せずにいたのだ。
しかも昨日の今日だし……すぐにと言ってもなかなか意識してしまってできない。
「ダメーっ?」
けれど、私には拒否することができない。
なんて言ったって莉音くんの必殺技である、潤んだ瞳を向けられているから。
この瞳を向けられて断れる人がいるのなら教えて欲しい。
「わ、わかった……」
「やったぁ」
嬉しそうにする莉音くんを見ると、もういろんなことがどうでも良くなる。
「改めてよろしくねっ、愛華ちゃん」
「うん。よろしく、莉音くん」
私が名前を呼ぶと嬉しそうにしていた。
車はしばらく高速道路を走っていって、大きなビルの下に止まった。