アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「着いたわよ」
そう潮見さんに言われて、みんな車から降りる。
目の間には“関係者入口”と書かれた入口があった。
普段ならこんなところ、入ることなんてない。
いや、そもそも入ることができない。
そこに入ることができるんだ。
貴重な経験に胸が躍る。
潮見さんに“関係者スタッフ”と書かれた名札を貰い、首からぶら下げる。
そうして、彼らの後ろについてビルの中へと入って行った。
いろんなセットが入っている撮影専用のビルらしい。
彼らの撮影の他にも、違う撮影が入っているらしく、テレビでよく見る俳優さんともすれ違った。
芸能人にあまり興味がない私にでさえわかるほどの有名人。
そんな人に会えるなんて思ってもいなかった。
ここに来ることは、邪魔しないことが条件なので勝手なことはできず、軽く会釈をして彼らの後をついて行った。
向かった先は控え室。
ここで衣装に着替えて、しばらく待機らしい。
「また呼びに来るから着替えよろしくね」
潮見さんは忙しいらしく、彼らにそう言い残して控え室を出ていった。