アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「愛華、はよーっ!」
「……柊」
朝からテンションが高い男の子が私の元へとやってきて、私の髪をわしゃわしゃとしてくる。
せっかく心桜と楽しく話してたというのに。
そんな私たちの間に入ってきたのは、私の幼なじみ、柏原柊。
なぜか私と同じ中学校に入学してきた。
どこからか私がこの中学校を受験すると聞き、親に頼み込んで入学させてもらったんだとか。
それは後から柊のお母さんに聞いた話。
家族ぐるみでも仲が良くて、時々柊の家にも遊びに行くのだ。
ただし、私は柊がちょっぴり苦手。
「髪の毛セットしてきたのに台無しじゃん」
「別に誰に見せるわけでもねぇからいいだろ?」
柊は意地悪なのだ。
心桜や他の人にはしないのに、私にだけ意地悪をしてくる。
「朝から仲良しねぇ」
ふふっと微笑ましく笑う心桜。
「そりゃ俺たち幼なじみだから──」
「仲良くなんかない」
柊に覆い被せるように否定する。
すると、柊は残念そうな顔をした。
「おい、愛華〜俺は片思いかよ」
「そうみたいね」
肩を落とす柊を私はバッサリと切る。
「痴話喧嘩お疲れ様」
そんな私たちのやり取りを見て、ずっと心桜は笑っていた。