アイドルたちに溺愛されて可愛がられて



「ねぇ、愛華姉ちゃんにお願いがあるの!」



そう言うと、机の中をカザゴソと漁って何かを出してくる。



「はい、これ」



結菜に手渡されたのは、真っ白い色紙。



「これは?」

「色紙!シャイニングのみんなのサイン貰ってきてくれないかな……」



照れくさそうにそう言う結菜。

彼らのお気に入りだからもしかしたら貰えるかもと思う一方で、手の届かないアイドルである彼らにそんなお願いなんてできるわけがないとも思う。

「どうしても欲しいの、お願い!」と頭を下げてくる結菜に私は困ってしまう。



「貰えなくても怒らないでよ」

「ありがとう、愛華姉ちゃんっ!」



可愛い妹のお願いだ。

一肌脱いでみるしかない。

結菜には貰えるかわからないという保険をかけてあるし、次会うことがあれば聞いてみよう。

……って、そもそもまた会うことなんてあるんだろうか。

お気に入りにされてしまったと言えど、彼らはアイドルで私は一般庶民。

今日だってたまたまシャイニングを知ってもらうために誘われただけかもしれない。

まぁ、貰えたらってことで……

結菜から預かった色紙は、一応カバンの中に入れて置いた。




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