アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
放課後になり、帰る支度をする。
いつも通り授業を受け、給食を食べ、休み時間は心桜とたわいない話をして……特別なことは起きなかった。
そんなこともあり、今朝あったことは、すっかり忘れていた。
帰ろうとカバンを持って立ち上がった時に、結菜から預かっている色紙のことを思い出す。
あの空き教室に行けば、彼らに会えるだろうか。
いや、私なんかが会いに行ってもいいのだろうか。
結菜には会えなかったと言って諦めてもらおう。
そう思った矢先、今日もまた廊下がざわめきだす。
なんだか嫌な予感がした。
「颯汰くーん!」
「千秋くーん!」
廊下から彼らを呼ぶ声がする。
「ねぇ、愛華、もしかして」
近くにいた心桜が私に声をかける。
まさか私を探してるんじゃ……
そんな私と心桜の予感は当たることになる。
「あーいかちゃん」
教室のドアにもたれかかって私の名前を呼ぶのは千秋くん。
「お迎えに上がりました、僕たちのお姫様」
爽やかスマイルでとんでもないことを口にする颯汰くん。
教室や廊下から黄色い声が上がる。
彼らの笑顔に何人かが倒れかけていたくらいだ。