アイドルたちに溺愛されて可愛がられて




空き教室に着くと、莉音くんが「待ってたよー!」と着いてそうそう私に抱きついてきた。

「本当は僕が迎えに行きたかったんだけど……」とちょっぴりいじけムード。

こういう時はどうするのが正解だろうか。

その場でなにもできず、立ち尽くしてしまう。

彼らへの好きを自覚してしまうと、今までと見る目が変わってしまう。

私、今本当にアイドルと会っているんだ……



「ねぇ、愛華ちゃん!昨日僕たちの撮影見てどう思ったー?」



抱きついたまま私の顔を見上げる莉音くん。

真っ直ぐな瞳に頭がクラクラする。



「すごくかっこよかった」

「本当ー?愛華ちゃんにそう思ってもらえてよかったぁ」



莉音くんはとっても嬉しそうで満足そうにしていた。



「愛華ちゃんお菓子食べる?」



今日も机の上にお菓子を並べている千秋くん。
あんなに食べて太らないのが不思議だ。



「うん」



千秋くんにひとくちチョコレートをもらって口の中へ転がす。

甘い。

まるで目の前にいる彼らのように。



「今日も連れてきちゃって迷惑じゃなかった?」



心配そうにする颯汰くんに、私は全力で首を横に振る。



「連れてきてもらえて嬉しい!」



また彼らに会いたかったから。

それに彼らに頼みたいことも……そうだ、色紙。



< 48 / 122 >

この作品をシェア

pagetop