アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「逃げなきゃ……っ!?」
私がそう呟くのと同時に、腕を引かれた。
「行くぞ」
「れ、廉くんっ!?」
私の腕を思いっきり引いて走り出したのは廉くんで、人の間を縫っていく。
後ろを振り向くと、颯汰くんたちもどこかへと散らばっていて、彼らに気づき始めていた女の子たちが追いかけてきていた。
「大変、追いかけて来てる!」
「わかってる。だからとりあえず走れ!」
「う、うん!」
しばらく走って、私たちは物陰に隠れた。
追っかけてきていた女の子たちは、私たちを見失ったみたいで、辺りをキョロキョロと見渡していた。
「はぁっ、無事に、巻けたみたいっ……」
息が上がって、肩を使って息をする。
「お前が俺らと一緒にいることがバレたら大問題になる」
壁にもたれかかって、同じく肩を動かす廉くんがそう呟いた。
「そうだよね、ごめん……」
彼らが有名なアイドルだってこと、わかってたのに。
「いや、俺たちが無理矢理誘ったんだから、愛華は悪くない」
また呼び捨て……
廉くんに名前を呼ばれると、すごく胸がドキドキする。
……なんでだろう。