アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
本当は面倒くさいなぁなんて思いながら職員室を出た。
そういえば社会準備室ってどこだろう。
中学校に入学してから約2ヶ月。
まだまだ知らないことの方が多い。
自分の身長よりも大きな地図を持って校内を歩き回る。
こんなことなら先生に聞いておけばよかった。
「莉音くーん!」
向かっている方向から誰かを呼ぶ声がする。
それと共に誰かがこちらへ走ってきた。
「ごめんっ、隠れさせて?」
「へっ?」
そう言われたかと思えば地図を広げられて、その影に身を潜めた男の子。
その後すぐに女の子たちがやって来た。
「ねぇ、莉音くん知らない?」
女の子たちにそう問いかけられる。
きっとその“莉音くん”って人がこの人なのかもしれない。
チラッと見てみると、シーっと口元に人差し指を添えてウインクされた。
これは秘密にして欲しいってことなんだろう。
「ごめんなさい、わからないです……」
靴の色が私と違うから、きっとこの人達は上級生だ。
「そっか、確かにこっちに行ったと思ったんだけど……ありがとう」
不思議に思いながら、女の子たちは去っていった。