アイドルたちに溺愛されて可愛がられて



千秋くんとの撮影は、靴を脱いで波打ち際ではしゃぎながら遊ぶシーンから始まった。

千秋くんと追いかけっこをする。

明るい千秋くんらしいパートだ。

途中で止まっては、足を振り上げて水しぶきを飛ばし合う。



「そーれっ」

「きゃっ!」



楽しすぎて、途中で撮影だってことを忘れてしまうくらい緊張感が解けた。

これは千秋くんのおかげかもしれない。

千秋くんには不思議な力がある。

思いっきり遊んだ後、2人手を繋いで海辺を歩く。



「楽しかったね!」

「だねっ」



シフォンワンピースの裾がひらりと揺れる。

それと同時に雰囲気がガラリと変わって、腕をそのまま引かれて、千秋くんに後ろから包まれる。

急に距離が近くなって、胸の鼓動が早くなった。



「……千秋くん?」

「愛華ちゃん、ずっと俺のそばにいて」

「……っ!」



耳元で囁く声。

それがすごくくすぐったくて、腰が抜けてしまい、そのまま砂浜にへたりこんでしまった。



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