アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
順番に階を回って、やっと3階に社会準備室を見つけた。
なんてわかりにくいところにあるんだろう。
一瞬通り過ぎてしまいそうになった。
「ここでいいかな?」
しまう場所は指定されなかったけれど、同じようなものが置いてあるところに地図をしまった。
私は頼まれたことをやったんだから、間違ってたって悪くない。
ちゃんと言わなかった先生が悪いんだから。
ひと仕事終えて、ふぅとため息をついた私は、社会準備室を出た。
「おーい、愛華いるかー?」
「……っ!」
この声は、紛れもない柊の声だ。
私の柊センサーは敏感で、微かな声でも感じ取る。
それだけ今会うと面倒くさい人。
まだ帰っていなかったんだ。
なんで私を探しているんだろう。
また会ったら意地悪をされるかもしれない。
それは嫌だ。
私は咄嗟に逃げ道を探していた。
……がしかし、社会準備室がある廊下の先は行き止まり。
声は階段の方からするから、そちらへは戻れない。
そこで目に付いたのは、誰も使っていないであろう空き教室。
ここしかないと、私は身を潜めるために空き教室へと逃げ込んだ。