アイドルたちに溺愛されて可愛がられて



私の元にヒーローのように駆けつけてくれたのは──



「……廉くんっ」



──廉くんだった。



「うそっ!」

「……やばっ」



口に手を当てて、バツの悪そうな顔をする彼女たち。



「ほら、立てよ」



廉くんが私に手を差し伸べてくれる。

その手を取って、立ち上がった。

廉くんは、私についたゴミを振り払ってくれる。



「なんで廉くんがここに……」

「カバンはあるのに愛華がどこにもいないって言うからみんなで探してたんだよ」



そっか、呼び出しに行くのがバレないようにと、彼らが教室に来る前に早々と飛び出したんだった。

今日もきっと今日まで私を迎えに来てくれたんだろう。

いつものように。

それでいるはずの私がいなかったから……



「……んで、お前らは愛華になにしてんだよ」

「それはその……」



あんなに威勢の良かったリーダーが小さくなっている。

余程本人にバレてしまったのが悪かったんだろう。



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