アイドルたちに溺愛されて可愛がられて
「……あ?」
「あれ、迷子かな?」
「へっ……」
「えーっと君は?」
「あっ!さっきの……愛華ちゃん!」
空き教室の中には先客がいた。
不機嫌そうにする男の子と、爽やかな笑顔を浮かべる男の子と、キャンディーを口にしながらこちらを見る男の子と、さっき出会った男の子。
揃いも揃ってイケメンな4人組。
靴のラインの色を見る限り、この人達は3年生。先輩だ。
どうしていいのかわからず放心状態でいると、ついさっき出会い、私の名前を呼んだ男の子が私の元へとやって来た。
「慌てて入ってきたみたいだけど、どうしたの?愛華ちゃん」
「あっ、えっと……知り合いから逃げてて……」
男の子の勢いにたじろぎながらそう答える。
「莉音、その子知り合い?」
そう聞いたのは爽やかな笑顔を浮かべた高身長の男の子。
「うん。さっき追っかけ巻いてる時に廊下で会って助けてもらったんだ〜」
「へぇー。愛華ちゃんって言ったっけ?うちの莉音を助けてくれてありがとう」
「いえ、そんな!」
爽やかな男の子にお礼を言われたけれど、私は大層なことはしていない。
ただ知らんぷりをしただけだ。