素敵後輩の隠し事


重苦しい沈黙が訪れた。

その沈黙の中、城内君が静かに話す。


「確かに、全国大会に行きました。

そのあと空手を人助けに使えば良かったのに……

僕は人を傷つけることに使っていました」


「……え?」


思わず城内君を見上げた。

城内君が泣いてしまったのではないかと思ったから。

だけど彼は、ただ悲しそうに宙を見つめる。


「僕は、矢田さんが思っているようないい人ではありません」


私は城内君の過去は知らない。
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