素敵後輩の隠し事



俺は橘を睨みながら言う。


「だからテメェのことは黙っててやるつもりだったのに、自分から自爆するとかダセー」


「城内……その言葉を矢田さんが聞くと、マジで泣くよ」



橘の言葉を聞きはっとして、口を押さえた。

俺は矢田さんの後輩だから、矢田さんには真面目に接していた。

だけど本性はこれだ。

これを知ったら、当然矢田さんは離れていくだろう。


「女とか、別にどうでもいいんだ」


強がりを言うが、


「マジで?

城内、三年間くらい女っ気ないし、本当に狂った?」


橘がまた余計なことを言う。

お前はいいよな、お前は。

とんとん拍子で結婚して、子供まで生まれて。

それに比べて俺は……身から出た鯖だ。

そして、彼女が出来ても悲しませるだけだから、彼女なんていらないと思っていた。


< 133 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop