素敵後輩の隠し事
俺は橘を睨みながら言う。
「だからテメェのことは黙っててやるつもりだったのに、自分から自爆するとかダセー」
「城内……その言葉を矢田さんが聞くと、マジで泣くよ」
橘の言葉を聞きはっとして、口を押さえた。
俺は矢田さんの後輩だから、矢田さんには真面目に接していた。
だけど本性はこれだ。
これを知ったら、当然矢田さんは離れていくだろう。
「女とか、別にどうでもいいんだ」
強がりを言うが、
「マジで?
城内、三年間くらい女っ気ないし、本当に狂った?」
橘がまた余計なことを言う。
お前はいいよな、お前は。
とんとん拍子で結婚して、子供まで生まれて。
それに比べて俺は……身から出た鯖だ。
そして、彼女が出来ても悲しませるだけだから、彼女なんていらないと思っていた。