素敵後輩の隠し事
城内君は私を見て、切なそうに笑った。
そしてまた、頭をぽんぽんと撫でる。
そんな顔しないで欲しい。
城内君には笑顔がお似合いだ。
「城内君は私のことを笑ったり馬鹿にしたりしなかった。
それだけじゃなくて、いつも助けてくれた。
過去はどうであれ、今の城内君は優しくて素敵な人なんだよ」
「矢田さん……」
「私はもっと城内君に近付きたい。
先輩じゃなくて対等な関係がいい。
助けてもらったら、助けてあげたい」
いや、それより好きなんだよ。
好きなんだけど、最後のひとことが言えない。
だけどもう、私の気持ちなんてバレバレだろう。
私は真っ赤になって俯いて震えている。
怖くて城内君の顔を見ることが出来なかった。
頑なな城内君だから、ここでまた拒否されるかもしれない。
いや、城内君には彼女候補の女性がいるから……私は先輩という立場から、抜け出すことは出来ないのかもしれない。