素敵後輩の隠し事



だけどもし、いまからでも間に合うなら……城内君の話を聞きたい。

私を守ってくれたみたいに、城内君を元気付けてあげたい。

そして、今度こそちゃんと好きだと伝える。

もう、私は逃げない。




城内君の手をぎゅっと握った。

微かに震えるその手を、離さないようにきつくきつく。



「私は、城内君のことをもっと知りたい。

……教えて?」


「これ以上矢田さんが近付くと、俺のこと嫌いになる」


「ならないよ!こんなに好きなんだもん!!」



叫んでから慌てて口を塞いだ。



私、とうとう言ってしまった。

勢いに任せて告白してしまったんだ。



その事実に気付くと、顔から火が吹きそうなほど真っ赤になる。

そんな私を切なそうに見て、彼はまた目を細めて告げる。


「知ってる」


「……!?知ってるの!?」


私の声は悲鳴のようだった。

ずっとずっと恋心を隠してきたのに、バレバレだったなんて!!


< 210 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop