素敵後輩の隠し事
「しばらくは幸せだった。
人を好きになるのって、こんなことなんだと思って。
だけど……過去の話はバレるんだよ。
それまでの行いが彼女にバレて、俺はもちろん振られた。
『汚い』って」
城内君は静かに話すのに、泣いているようだった。
私はその胸に身を寄せることしか出来なかった。
その鼓動は、相変わらず早鐘を打っている。
「だから彼女なんていらないし、逃げるようにここに来たんだ。
過去を知る人がいないから、橘と智樹に笑われながらいい人を演じてきた」
「うん……」
「矢田さんにとっても、ずっといい後輩でいたかった」
「でも、私が好きになっちゃった」
私の言葉に、城内君は自虐的に笑った。
やっぱり私の気持ちは迷惑でしかなかったのか。