素敵後輩の隠し事



新しい場所に来て、私も生まれ変わったつもりでいた。

だけど所詮ガリ子のままだったのだ。

そんな思考を打ち破ったのは、新たな城内君の言葉だった。

彼は相変わらず静かに、だけど微かに震える声で告げる。



「俺も好きなんだよ。

人なんて好きにならないって決めたのに、好きになってしまったんだよ……」


「……え?」


「どうせまた、汚いって思われるのに……ドン引きされるのに……」



そうか。

城内君はずっとそれが心の傷になっていたんだ。

辛かったね、悲しかったね。

だって、過去は消せないんだから。

でも、その気持ちを知って、私は嬉しい。

涙が出るほど嬉しい。


< 215 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop