素敵後輩の隠し事
こうやって、私は城内君の彼女になった。
私の気持ちは見透かされていたが、城内君の気持ちは知らなかった。
それは私の経験不足だったのかもしれないが、まさしく逆転ホームランだった。
「そういえば、この前女の人と歩いていたよね?」
ようやく気になっていたことを聞く。
嫉妬深い女だと思われる恐怖とともに。
だけど城内君は本当に心当たりがないようで、
「女?……女?」
なんて考え込んでいるようだ。
この調子じゃたいした用事ではなかったのだろう。
ほっとする私に、思い出したように城内君は言う。
「あー。橘の妻といたかな。
橘の誕生日だったから、ケーキ買いに」
彼は本当に何も思っていないらしい。
それどころか、私の気持ちまで見透かしてしまうのだろう。
これこそ経験値の違いだ。