素敵後輩の隠し事
「矢田さん」
城内君に呼ばれてはっとする。
私はまた、ぼーっと妄想をしていたんだ。
「矢田さん、疲れているんじゃないですか?」
城内君は少し心配そうに私を見る。
こんな好青年で明るくて気遣いまで出来る城内君は、今までもずっと楽しい人生を歩んできたのだろう。
「疲れてないよ。大丈夫だよ」
そう言うものの、正直疲れていた。
ついこの前まで大きなプロジェクトに関わっていて、ようやくそれが終わったから。
そのプロジェクトの真っ最中に異動してきた城内君の面倒なんてろくに見ることも出来なかったのに、城内君は城内君で空気を読んで出来ることをこなしてくれた。