素敵後輩の隠し事




「お前ら……」


俺は意気消沈して吐き出した。

こいつらは、俺の心の傷を容赦なく掘り返すのが好きらしい。


「矢田さんは関係ねぇだろ。

それに分かってる、あいつは俺じゃ駄目だろう」



そう、矢田さんにも酷い心の傷がある。

俺なんかよりも、ずっと。

それなのに、そのトラウマに立ち向かって俺を庇おうとした矢田さんを見て、胸が痛んだ。

それと同時に、昔の自分を呪う。

だけどひとつだけ救いなこと、それは


「俺は部外者をいじめたりする男じゃなくて良かった」


ということだ。

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