Cherry Blossoms〜いのちのかたち〜
モニカがまるで安心させるように一花に笑いかける。その数秒後、ベラドンナがスーパーの袋を手にやって来た。桜士、一花、そしてモニカは黙って袋の中に自分たちが持っているスマホを入れる。その時だった。

「テメェ、何スマホいじってんだ!!」

怒鳴り声がし、桜士たちはハッとして前を見る。ヴェノムが顔を赤くして怒鳴り付けているのは、桜士たちの近くにいた優先席に座っている太一の母親だった。母親はスマホで友人に助けを求めるメッセージを送っていたようで、それをヴェノムに見つかったようだ。

「ッ!このクソババア!!」

ヴェノムはナイフを太一の母親に向け、大きく張り上げる。悲鳴が上がる。刃渡り二十センチ以上のナイフで斬り付けられたら、下手をすれば大怪我どころでは済まない。桜士が止めようと座席から腰を浮かした刹那、「やめてください!」と大きな声が車内に響き渡る。

「お義母さんを、そんなもので斬り付けないでください!」
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