Cherry Blossoms〜いのちのかたち〜
「罪を犯したら、もう普通の日常へは戻れませんよ。罪と向き合い、必死にやり直そうとする人たちもいます。それでも、罪を犯したという真実は消えず、十字架を一生背負って生きていくんです。そのことを考えて、行動しているんですか?」

桜士も気が付けば一花のように立ち上がり、ヴェノムたちに言っていた。彼らはまだ幼さの残る顔を歪ませ、笑う。

「俺たち、まだ未成年だぜ?罪だって少年法ってやつで軽いんだろ?何とでもなるだろうよ」

そう言った刹那、一花が彼らの方に歩いて行こうとした。慌ててそれを桜士は彼女の腕を掴んで止める。

「本田先生!」

抗議するような目を一花は向けるものの、桜士は腕を離さなかった。このまま離してしまえば、一花は迷うことなくヴェノムたちに飛び掛かる。一花の命はもちろん、乗客の命だって危ない。

「四月一日先生、落ち着きましょう。これは決して許されないことです。ですが、何の策もなしに飛び掛かるなど、あまりにも危険すぎます!」
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