Cherry Blossoms〜いのちのかたち〜
「……一体、何なの?」

元医師として自分の体のことは気になってしまう。藍は、純平が「私の妻に相応わしい格好をするように」と言われて無理やり押し付けられたブランド物のコートとバッグを手に、脳神経外科に足を運んだ。そこで暗い表情をした医師に、告げられる。

「折原さん、あなたの脳には腫瘍があります。残念ながら、手術で取り除くことは不可能です」

その言葉を聞いた刹那、藍の頬を涙が伝った。命が若くして終わることに悲観してのものではない。ただ、嬉しかったのだ。

「私は、あとどのくらい生きられますか?」

医師から説明を聞いた後、藍はお礼を言って診察室を出る。そして、久しぶりに微笑んだ。

「やっと、解放される……」

だが、藍にはやらなくてはならないことがあった。それは、あの三人に対する復讐である。

「私が脳死した後のことは、全部私が決めてやるわ……!」

それは、藍の命を賭けた復讐劇の幕開けだった。
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