☆君が僕を…☆
「その辞書を貸してくれない?」
宝物を守るように、腕で隠してあった辞書を茜ちゃんは、指差した。
目的は、これか…。
何?期待してんだ俺…?
「あっ!いいですよ!」
茜ちゃんは、笑いながら
「敬語使わないでいいから!」
そして、仁まで
「マジウケるから!」
さらっと言ってくれるじゃん。
緊張のあまり、出た口が敬語だったんだから!
仕方ないじゃん!
茜ちゃんの中の俺って?
まだまだ、ただの同じクラスの男子の位置づけってもんなんだな〜。
でも、こんな会話だけでも!
ちょっと、顔がにやける自分がいる。
そして、茜ちゃんが俺の存在に気づいている。
微妙な、一歩かもしれない!
心の中で、小さなガッツポーズが出たんだ。
自分でも笑えるし!
ある意味チャンスかも?