眠り姫と生贄と命の天秤
「聞いてもらったから、キトエの嫌なことも聞くよ? ね?」
キトエはものすごく困った眉をして、リコを見て、また視線をそらした。
「分かった……けど、リコが悪いわけじゃ……あの下衆が、リコの、その……胸見てたから」
まったく予想していなかった答えに、リコの頭は止まった。
「リコが悪いわけじゃないから! ただ、ああいう下衆がいるから、しゃがむときとか前かがみになるときは気をつけてほしい、とは思う」
キトエが取り繕うように早口で付け足す。嫉妬ではなくまさかの方向で、リコは反射的に胸元を押さえていた。
今着ているのは左右それぞれ肩紐を結ぶタイプの、スカートまでつながっている服で、胸元は四角くひらいている。中に淡く透ける上衣を着ているし、胸元がひらきすぎていることはないのだが、たしかにしゃがんだり前かがみになったりすれば別だ。干し肉を見ているときは前かがみになっていた、と思う。今まで意識したことがなかった。火のせいではなく燃えているように頬が熱くて、キトエの顔を見られなくなってしまった。
けれど、広い意味で捉えれば嫉妬、なのだろうか?
(いやそういう問題じゃない!)
キトエはものすごく困った眉をして、リコを見て、また視線をそらした。
「分かった……けど、リコが悪いわけじゃ……あの下衆が、リコの、その……胸見てたから」
まったく予想していなかった答えに、リコの頭は止まった。
「リコが悪いわけじゃないから! ただ、ああいう下衆がいるから、しゃがむときとか前かがみになるときは気をつけてほしい、とは思う」
キトエが取り繕うように早口で付け足す。嫉妬ではなくまさかの方向で、リコは反射的に胸元を押さえていた。
今着ているのは左右それぞれ肩紐を結ぶタイプの、スカートまでつながっている服で、胸元は四角くひらいている。中に淡く透ける上衣を着ているし、胸元がひらきすぎていることはないのだが、たしかにしゃがんだり前かがみになったりすれば別だ。干し肉を見ているときは前かがみになっていた、と思う。今まで意識したことがなかった。火のせいではなく燃えているように頬が熱くて、キトエの顔を見られなくなってしまった。
けれど、広い意味で捉えれば嫉妬、なのだろうか?
(いやそういう問題じゃない!)