眠り姫と生贄と命の天秤
大好きだ。愛してる
「ちゃんと寝るの。ね?」
挑むようにキトエを見上げる。
「命令のほうがいい?」
引かない気持ちで口を結んでいると、キトエは困った顔のまま息をついた。
「分かった」
「よかった! ありがとう」
思わずキトエの手を握ってしまいそうになって、すんでのところで止めた。こういうときのキトエは意固地なので、つい隣に来てしまったが、先ほどまでとんでもなく恥ずかしかったのだった。体から首筋に熱が駆け上がってくる。顔の赤みは炎で気付かれないだろうが、不自然に視線をさまよわせて手を引いたので、悟られてしまっただろう。
離れたほうがいい。けれど、恥ずかしいのだけれど、このままキトエの隣にいたい気持ちもあるのだ。
逃亡中に色ぼけている場合ではないので当たり前なのだが、キトエはリコに恋人らしいことをほとんどしてこない。リコとしては、もう少し恋人らしく、そばにいたい。はしたないのだが、抱きしめてほしい。
そうして、気付いてしまう。
(もしかして臭いが、とか。ちゃんと眠れてないし、ずっと日に当たってるから肌もぼろぼろだし)
挑むようにキトエを見上げる。
「命令のほうがいい?」
引かない気持ちで口を結んでいると、キトエは困った顔のまま息をついた。
「分かった」
「よかった! ありがとう」
思わずキトエの手を握ってしまいそうになって、すんでのところで止めた。こういうときのキトエは意固地なので、つい隣に来てしまったが、先ほどまでとんでもなく恥ずかしかったのだった。体から首筋に熱が駆け上がってくる。顔の赤みは炎で気付かれないだろうが、不自然に視線をさまよわせて手を引いたので、悟られてしまっただろう。
離れたほうがいい。けれど、恥ずかしいのだけれど、このままキトエの隣にいたい気持ちもあるのだ。
逃亡中に色ぼけている場合ではないので当たり前なのだが、キトエはリコに恋人らしいことをほとんどしてこない。リコとしては、もう少し恋人らしく、そばにいたい。はしたないのだが、抱きしめてほしい。
そうして、気付いてしまう。
(もしかして臭いが、とか。ちゃんと眠れてないし、ずっと日に当たってるから肌もぼろぼろだし)