眠り姫と生贄と命の天秤
水はリコの魔法で出せるので、体は毎日拭いている。けれど歩きづめで常に疲労がたまっているということもあって、ちゃんとした水浴びや洗髪、洗濯は数日おきになっていた。臭いが原因だったとしたら、積極的に近付きたくはないだろう。
好きな人に臭いで敬遠されているとしたら、かなりつらい。
「そ、そういうわけだから!」
立ち上がろうとした瞬間、ひざの上に置いていた手を握られた。体がすくむ。キトエを見上げると見つめられていて、そのまま抱きしめられた。
体の中がきゅっと縮むように鼓動が速くなる。けれど頭がついていかない。臭いがしたら困る、と胸を押し返そうとしたら、間近で目を合わされて、唇を塞がれた。
背をきつく抱きしめられて、体が痺れて、抗う力が抜けていく。
唇が離れて、すぐにもう一度触れ合った。しがみつくようにキトエの背の、服をつかんでしまう。
今度こそ唇が離れて、ふわふわした頭でキトエを見つめると、黄緑の瞳に炎の橙色と、水色と、緑の欠片がきらめいていた。キトエの瞳はのぞくたびに違う色が見えて、とても綺麗だ。
好きな人に臭いで敬遠されているとしたら、かなりつらい。
「そ、そういうわけだから!」
立ち上がろうとした瞬間、ひざの上に置いていた手を握られた。体がすくむ。キトエを見上げると見つめられていて、そのまま抱きしめられた。
体の中がきゅっと縮むように鼓動が速くなる。けれど頭がついていかない。臭いがしたら困る、と胸を押し返そうとしたら、間近で目を合わされて、唇を塞がれた。
背をきつく抱きしめられて、体が痺れて、抗う力が抜けていく。
唇が離れて、すぐにもう一度触れ合った。しがみつくようにキトエの背の、服をつかんでしまう。
今度こそ唇が離れて、ふわふわした頭でキトエを見つめると、黄緑の瞳に炎の橙色と、水色と、緑の欠片がきらめいていた。キトエの瞳はのぞくたびに違う色が見えて、とても綺麗だ。