眠り姫と生贄と命の天秤
見とれていたら、キスのあとだったと急に恥ずかしさがわき上がってきて、思いきり顔をそらした。けれど恥ずかしいのと嬉しいのが混ざり合って、キトエの肩にそっと額を押しつける。感情と行動がぐちゃぐちゃで、何をやっているのか自分でもよく分からない。しがみついていた背を、キトエがしてくれたようにきつく抱きしめた。
「キトエ。好き」
恥ずかしいのも何も考えず、呟いていた。剣と革の手入れに使う、甘いみつろうと油の香りがして、心臓がつかまれたように強く鳴った。
キトエの手が髪に触れて、指先が耳をかすめて、肩が跳ねる。手の平に、頬を包みこまれる。のぞきこむように、顔を近付けられる。
キトエの表情は恥ずかしそうで、少し苦しそうで、けれど熱がこもっていた。
「うん。大好きだ。愛してる」
言葉が、ささやきが、体に染み渡って、痺れになって震えた。
キトエが気まずそうに視線を外して、頬を包んでいた手と背を抱いていた腕を解いた。
「その……食べきらないと」
「キトエ。好き」
恥ずかしいのも何も考えず、呟いていた。剣と革の手入れに使う、甘いみつろうと油の香りがして、心臓がつかまれたように強く鳴った。
キトエの手が髪に触れて、指先が耳をかすめて、肩が跳ねる。手の平に、頬を包みこまれる。のぞきこむように、顔を近付けられる。
キトエの表情は恥ずかしそうで、少し苦しそうで、けれど熱がこもっていた。
「うん。大好きだ。愛してる」
言葉が、ささやきが、体に染み渡って、痺れになって震えた。
キトエが気まずそうに視線を外して、頬を包んでいた手と背を抱いていた腕を解いた。
「その……食べきらないと」