眠り姫と生贄と命の天秤
わたしの答えは、わたしが出す
「リコは、誰にも渡さない。神にも。俺はリコのもので、リコは俺のものだ」
ずっと薄笑いを浮かべていたジヴィードはあぜんとしていた。リコも呆然としてしまった。
「いや、おい真面目に言ってるのか? 王子様気取りか?」
ジヴィードが信じられないといったように笑い出す。
泣きそうに、なってしまった。
(もう、誰のものでも、神様のものでもなく、わたしは、キトエのものなんだ)
そして、キトエはリコのものだ。嬉しかった。生贄の城で、もう絶対に離さないと約束されて、約束をずっと果たしてくれているのだ。
理不尽な感情に流されている場合ではなかった。今、逃げているのだから、死にたくないのだから、その選択をしたのだから、言われた罪を考えるのは、あがなうのはあとだ。今この瞬間を脱する方法を考えなければ。
リコと、馬上のジヴィードは互いに右手を向け合ったまま、こう着している。ジヴィードの脇には数人の騎兵が、弓を構えている。
ずっと薄笑いを浮かべていたジヴィードはあぜんとしていた。リコも呆然としてしまった。
「いや、おい真面目に言ってるのか? 王子様気取りか?」
ジヴィードが信じられないといったように笑い出す。
泣きそうに、なってしまった。
(もう、誰のものでも、神様のものでもなく、わたしは、キトエのものなんだ)
そして、キトエはリコのものだ。嬉しかった。生贄の城で、もう絶対に離さないと約束されて、約束をずっと果たしてくれているのだ。
理不尽な感情に流されている場合ではなかった。今、逃げているのだから、死にたくないのだから、その選択をしたのだから、言われた罪を考えるのは、あがなうのはあとだ。今この瞬間を脱する方法を考えなければ。
リコと、馬上のジヴィードは互いに右手を向け合ったまま、こう着している。ジヴィードの脇には数人の騎兵が、弓を構えている。