眠り姫と生贄と命の天秤
頭が追いつかないまま、流れるようにキスをされた。試すように触れただけの唇はすぐ離れて、今度は深く口付けられた。初めてではないけれど、急すぎて思わずキトエの服の胸元をつかんでしまう。抱きしめられていないほうの手で腰から脇腹を撫でられて、驚いてキトエの胸を押し返していた。
「ま、待って、ちょっと、っん」
キスされた。脇腹にあった手が頬に上がってきて、指が、耳に触れる。唇を深く、たくさん吸い取られる。ようやく思い出して、平静ではない意識のなかで、唱える。
「シムリルカ」
魔力も、声も、食べられる。
耳に触れていた指が、首筋へ下りていく。
「待って、キトエ、待って、お願い」
キトエの胸元を両手で握りしめて、ようやく顔を離してもらえた。呪法のせいなのか、それともリコと同じ理由なのか、キトエの表情はぼんやりしていて、女性よりもよっぽどなまめかしかった。体が痺れる。月の明るさしかないのに、みなものような黄緑の瞳に橙色と緑の欠片が揺らめいている。
「その……こ、こういうことをしてって言ったのはわたしだけど、その」
「ま、待って、ちょっと、っん」
キスされた。脇腹にあった手が頬に上がってきて、指が、耳に触れる。唇を深く、たくさん吸い取られる。ようやく思い出して、平静ではない意識のなかで、唱える。
「シムリルカ」
魔力も、声も、食べられる。
耳に触れていた指が、首筋へ下りていく。
「待って、キトエ、待って、お願い」
キトエの胸元を両手で握りしめて、ようやく顔を離してもらえた。呪法のせいなのか、それともリコと同じ理由なのか、キトエの表情はぼんやりしていて、女性よりもよっぽどなまめかしかった。体が痺れる。月の明るさしかないのに、みなものような黄緑の瞳に橙色と緑の欠片が揺らめいている。
「その……こ、こういうことをしてって言ったのはわたしだけど、その」